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関東平野に入らなかった暖かい南風

13121006

10日は前線や低気圧の伴い、前日の天気予報では、昼頃にかけて関東地方で強い南風が吹き気温も上がる予報でしたが、
実際には、関東地方に南風はほとんど入りませんでした。東京では気温は上がらず、気象キャスター泣かせの日となったようです。

熊谷のウィンドプロファイラを見ると、上空1000m以上では強い南風が吹いていて、上空には暖気が入っている様子がわかります。

201312100700-00

ウィンドプロファイラ 熊谷  高度時間断面 7時~13時

今朝、雨の降る前に、関東北部でかなり気温が下がっていたことと、降水粒子の蒸発冷却が寄与して、関東内陸では下層に冷気プールが形成されていたようです。
熊谷のウィンドプロファイラでは、8時半~10時半頃、2km以下が降水粒子が落下している層だと思われます。

201312100900-00

アメダス 気温 9時

ちなみに、横浜では10時頃に一時的に南風が入り、気温が一気に6度近く上昇しました。
実際に、この時間帯はかなり暖かく感じました。逆に気温の下がった正午頃はかなりひんやりしていました。

(横浜 アメダス)
9時 7.1度 北西
10時 13.1度 南南西
11時 6.3度 北北東

201312101000-00

アメダス 気温 10時

201312101100-00

アメダス 気温 11時

館野のゾンデを見ると、弱い北風の冷気層はつくばではかなり薄かったようです。
※ ただ、この時間はまだ降水粒子の蒸発による冷却は起きてません。

emagram

館野(つくば)の午前9時のエマグラム

(10日00Zの下層の気温) ※ 気圧 高度 気温
995.0hPa 31m 9.0度
993.0hPa 47m 8.2度
977.0hPa 181m 13.0度
956.0hPa 361m 12.1度
925.0hPa 633m 10.8度
867.0hPa 1170m 7.2度

台風24号 非常に強い勢力で沖縄を通過

T24

MODISがとらえた台風24号

台風24号は非常に強い勢力に発達し、7日夕方沖縄の与論島付近を通過しました。通過した時の中心気圧は935hPa、中心付近の最大風速は50m/s、最大瞬間風速は70m/s。与論島では台風が通過する直前の15時57分に、最大瞬間風速53.5m/sを観測しました。

気象レーダーや気象衛星の画像を見ると、与論島が台風の眼にすっぽりと入っているのがよくわかります。

 

またMOIDSの高解像度の画像では、台風の眼のより立体的な構造まで見て取れました。

台風のスパイラルバンドで発達した積乱雲

201310021445-002日、関東の東の海上を台風22号が通過しました。

つくば市では、2日午後に台風の外側を取り囲むスパイラルバンドがかかり、積乱雲が発達。一時的に激しい雨が降りました。

ちょうどその時間、仕事が開いたこともあり、積乱雲発達の様子を撮影しました。

 

 

積乱雲が発達して雨が降る様子を時間を追うとこんな感じです。

-最初、黒っぽい雲の左側から、筋のように雨が落ちてきます。

-筋が太い帯のようになり、真っ白になります。この下では激しい雨が降っています。

-その帯が徐々に大きくなりならが、徐々に近づいてきます。

わずか20分ちょっとの出来事でした。

積乱雲の写真とレーダーを合わせるとこのような感じになります。赤い丸が撮影していた場所。赤い直線が大体の画角です。黄色や赤いところが、レーダーがとらえた発達した積乱雲。ちょうど写真の中心あたりになります。

雨

台風18号の足跡

201309160745-00

上陸時のレーダー画像。台風の眼に入った渥美半島付近には雨雲がない。

台風18号は16日午前8時ころ、愛知県豊橋市付近に上陸し、長野県から関東北部、東北地方を通り、北海道の南の海上で温帯低気圧に変わりました。広い範囲に大雨や竜巻をもたらし、大きな被害をもたらしました。

この台風、これまでの台風には見られなかったような発達をしました。14日9時に985hPaだった台風は15日9時に980hPaとやや発達しました。ただ、この後、15日21時に975hPa、16日3時に970hPaと急速に発達し、上陸直前の16日6時には965hPaにまで発達しました。21時間で15hPaも低下したことになります。気象衛星の画像を見ると、台風が日本に近づくにつれて、渦がしっかりして雲が密になっている様子がわかります。

通常、台風は日本に近づく前に最盛期を向かえ、弱まりながら日本に上陸します。ただ今回は、まさに最盛期に台風が上陸したため、通常は崩れるはずの台風の構造が崩れずに、大きな被害をもたらしました。この要因としては、台風が発生から3日程度で日本に到達したこと、日本の周辺の海水温が高かったことなどが挙げられています。

NOAA WP162013 – Tropical Storm MAN-YI
http://rammb.cira.colostate.edu/products/tc_realtime/storm.asp?storm_identifier=WP162013

衛星画像 高知大気象頁
http://weather.is.kochi-u.ac.jp/

横浜を通過した積乱雲

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23日、秋雨前線に向かって南から湿った空気が流れ込んだ影響で、関東地方でも午後は大気の状態が不安定になり、局地的に激しい雷雨となりました。横浜市では14時頃に発達した積乱雲が通過し、一時的に激しい雨が降りました。

写真はその積乱雲を少し南側から撮ったものです。右側に乱れた黒い雲が見え、左側では灰色一色の場所があります。この灰色のところが激しい雨の降っているところです。

ほぼ同時刻の気象レーダーを見ると、横浜上空に紫色のレーダーエコーが見えます。積乱雲の移動速度は早く、30分ほどで横浜を通過しました。

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(動画で撮影)

高知県四万十市 4日連続で40度以上

最近の大気の流れの特徴(2013年8月8日~8月11日平均) 出典:気象庁

最近の大気の流れの特徴(2013年8月8日~8月11日平均) 出典:気象庁

高知県四万十市の江川崎アメダスでは、今日も午後1時8分に最高気温40度を記録し、4日連続40度以上ととてつもない暑さとなりました。
江川崎では昨年までは2004年7月30日に記録した39.8度が歴代最高で、次いで1994年の38.8度でした。今年の猛暑はランキングを大きく塗り替え、歴代最高気温の上位6位中5つが今年記録となっています。いかに今年が高いのかが分かります。
最高気温41度は近いうちに他の地点に抜かれそうですが、「4日連続40度以上」は、しばらく更新されることはなさそうです。

■ 江川崎の最高気温 観測史上1位~10位

2013/8/12 41.0度
2013/8/10 40.7度
2013/8/11 40.4度
2013/8/13 40.0度
2004/7/30 39.8度
2013/8/9 39.3度
1994/7/16 38.8度
1995/8/17 38.3度
1994/7/13 38.3度
2006/8/9 38.2度

この暑さに関して、気象庁から情報が出されました。

最近の日本の高温について(気象庁)

大気の流れの特徴(広い範囲の高温の要因)は、

・最近の日本付近では、下層の高気圧(太平洋高気圧)と上層の高気圧(チベット高気圧)がともに強まった。このため、日本の広い範囲では、高気圧に覆われて晴れたことや、高気圧に伴う下降流の効果などによって、気温が上昇したとみられる。

・太平洋高気圧は7月以降、中国南部から本州の南海上で勢力の強い状態が続いている。この一因としては、東南アジアの平年より活発な積雲対流活動域で上昇した気流が中国南部から本州の南海上で下降したことが考えられる。

・例年、盛夏期になると本州上空に張り出すチベット高気圧は、8月上旬後半以降、日本付近で偏西風が北に蛇行したことに対応して勢力が強まった。この一因としては、ユーラシア大陸上の亜熱帯ジェット気流に沿って西から蛇行が伝わったことが考えられる。

※専門的には、PJパターンと(熱帯の積雲対流活動と日本の下降流)シルクロードパターン(ジェット気流の西からの伝播)によって高温がもたらされてたようです。

■ 13日の最高気温
高知県 江川崎 40.0度
大阪府 豊中 39.1度
和歌山県 かつらぎ 38.9度
山口県 山口 38.4(観測史上1位の値を更新)
奈良県 風屋 38.2度
奈良県 上北山 38.2度
広島県 府中 38.0度
京都府 京都 38.0度

高知県四万十市西土佐で41度 国内最高を更新

最高気温

12日も西日本を中心に気温が上がり、高知県四万十市西土佐にある江川崎の観測点では、午後1時42分に最高気温41度を観測しました。これは、これまでの国内の最高気温40.9度(多治見、熊谷)を上回り、国内での観測史上最高の気温を更新しました。また、江川崎では3日連続40度を越え、これも国内の観測史上初となります。

江川崎の過去3日間の最高気温

8月10日 40.7度
8月11日 40.4度
8月12日 41.0度

今回特に高温となった理由は以下のことが複合的に重なったことが原因と考えられます。
≫背の高い高気圧による下降流(断熱昇温)
≫西風によるフェーン現象(ドライフェーンによる昇温)
≫連日の40度前後の暑さによる熱の貯蓄
≫少雨による土壌の乾燥(前1カ月降水量はわずか10mm)

※最高気温を記録したあと、14時には36度台まで気温が下がっています。近くで積乱雲が発達していたので、積乱雲からの冷たい風が吹き込んだ可能性があります。

江川崎のほかにも大阪市豊中で39.8度、静岡県佐久間で39.6度、奈良県風屋で39.4度など、西日本を中心に40度近い猛烈な暑さとなりました。

■ 日最高気温の高い方から
高知県 江川崎 41.0度(国内観測史上1位の値を更新)
大阪府 豊中 39.8度
静岡県 佐久間 39.6度(8月の1位の値を更新)
奈良県 風屋 39.4度(観測史上1位の値を更新)
岐阜県 多治見 39.3度
長野県 南信濃 39.1度(観測史上1位の値を更新)
山梨県 甲府 39.1度
三重県 桑名 39.0度
和歌山県 栗栖川 38.8度
高知県 梼原 38.7度(観測史上1位の値を更新)

■ 35度以上の猛暑日 243地点
■ 30度以上の真夏日 706地点
■ 最高気温の記録を更新 13地点

東日本では猛烈な暑さの峠は越えつつありますが、西日本では引き続き35度以上の猛暑日が続きそうです。

高知県四万十市江川崎で40.7度

午後2時の気温

午後2時の気温

10日は全国的に気温が上がり、高知県四万十市江川崎と山梨県甲府では最高気温40.7度を観測しました。これはいずれも観測史上最高の記録を更新し、全国的にみても、熊谷・多治見の40.9度、山形の40.8度に次ぐ、歴代4位の記録です。また、山梨県勝沼で40.5度、群馬県館林で40.1度と、4地点で40度を超える猛烈な暑さとなりました。また、全国36地点で過去の最高気温の記録を更新、またはタイ記録となりました。

気温が高かった地点は、

 高知県 江川崎 40.7度(観測史上1位の値を更新)
 山梨県 甲府 40.7度(観測史上1位の値を更新)
 山梨県 勝沼 40.5度(観測史上1位の値を更新)
 群馬県 館林 40.1度
 埼玉県 鳩山 39.8度(8月の1位の値を更新)
 岐阜県 多治見 39.4度
 埼玉県 熊谷 39.3度
 宮崎県 西米良 39.2度(8月の1位の値を更新)
 三重県 桑名 39.2度(観測史上1位の値を更新)
 埼玉県 寄居 38.9度

ここ数日、雨が降らず気温の高い状態が続いていたことと、下層から上層にかけて背の高い高気圧に覆われていたために下降流が強まり、全国的に猛烈な暑さになりました。専門的には断熱圧縮と呼び、下降流が強まると上空の暖かい空気が下層に降りてきます。また、江川崎や甲府など山に囲まれた地域はさらにフェーン現象も加わり、40度を超えるとてつもない暑さになったと考えられます。

 

8月上旬から中旬 猛暑再び

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今週から8月中ごろまで、全国的に厳しい暑さとなりそうです。気象庁は東北から九州にかけての広い範囲に、高温に関する「異常気象早期警戒情報」を出して注意を呼びかけています。週間予報によると、7日以降は太平洋高気圧に覆われ、連日晴れの天気が続きます。西日本では連日35度以上の猛暑日となり、場所によっては38度を超える猛烈な暑さとなりそうです。関東地方も今週末は35度を超える暑さとなる予想です。
これまでも雨の少ない四国や九州では、農作物の管理や水不足も心配されます。

衛星で見る低気圧の渦

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午前3時の水蒸気画像

台風から変わった(熱帯低気圧から変わった)温帯低気圧の渦。
赤外画像では不明瞭ですが、対流圏中・上層の水蒸気が見える水蒸気画像ではきれいな渦が見えました。